MEMO:ex.Nikkei eco

yudgw2005-12-11

環境トップインタビュー:「ロハス層は企業に厳しいが魅力的な消費者」米NMI フレンチ氏

2005年12月08日 09時32分
米NMI マネージングディレクター スティーブン・フレンチ氏

米国では約5000万人が健康志向の消費行動をとっているという。
新しい消費者層は、地球や社会といった大きな視点で環境を考えると指摘する。
(聞き手/神保重紀・日経エコロジー編集長 写真/尾関裕士)

??米国における消費者調査によって、「LOHASロハス)層」と呼ぶ新しい消費者像の存在を明らかにしました。この人々はどんな特徴を持った消費者なのですか。

フレンチ:今回の調査は、約1000人の被験者を4年にわたって追跡したものです。そこでわかったのは、従来のような個人的な健康や健全性を志向するのではなく、地球的、社会的な大きな視点で健康を志向するロハス層の存在です。米国における成人人口の2億1500万人の23%を占める約5000万人が、それに当たります。価値観や信条、道徳、理念などを自分のものとして内在化しており、その基準で特定の財やサービスを利用する際に行動します。

もう少し人口動態的に説明すると、まず圧倒的に高学歴で、年齢的にはわずかに米国の平均年齢を上回る48歳程度。そして、平均所得を上回る高所得層です。ただ、非常に高所得なグループというわけではありません。そしてロハス層の特徴の一つが、いわゆる物質主義ではないということ。大きな屋敷に住み、その中にありとあらゆる金のかかったモノを所有することで満足するという消費パターンとは異なります。

ロハス層の親には多くの場合、20〜22歳くらいのカレッジに通う子供がいます。彼らの世代も独自に自分の価値観を確立し、いろいろな活動に自己決定して参加するという考え方が出てきているようです。マインドセット(考えの枠組み)が今までの既成概念とは異なり、自分で考えて結婚したり、行動したりする層が若い世代にもいるということです。

??ロハス層には宗教上の共通項はあるのですか。

フレンチ:組織化されたフォーマルな意味での宗教ではありませんが、ある意味で精神面に対して非常に強い傾向があるとは思います。身体・精神・知というような点で、自分の行動と考えている価値観が一致しているという人たちが多いのでしょう。

もう一つ、政治的な傾向があるのではないかと思われるでしょうが、そうした偏りや政党性は全くありません。

それ以外のファクターとしては、生涯教育などには熱心です。エクササイズやヨガなど体を動かすことにも取り組んでおり、文化に対する関心が非常に高い。映画館に行ったり、美術館・博物館に足を運ぶような活動をします。(日経エコロジー1月号に全文が掲載されています)

【略歴】
ティーブン・フレンチ氏:1961年生まれの44歳。83年にペンシルバニア州立大学を卒業、マーケティングサイエンスを学ぶ。87年、シュラントン大学でMBA経営学修士)を修得。ペプシコやマース、マリオット・コーポレーションにおいて25年間、主にマーケティングや新規ビジネス開発に従事。98年に米調査会社のナチュラル・マーケティング・インスティテュート(NMI)に入社