戦争に反対する唯一の手段

yudgw2005-12-17

「戦争に反対する唯一の手段は、各自の生活を美しくして、それに執着することである。」
吉田健一『作法無作法』(宝文館1958年)

▼英文学者 吉田健一は史上数人目のイギリスかぶれの日本人。茂ヨシダの長男。
とかくイギリスに染まった人ってのは面白い。
アメリカナイズド日本人とか、SouthEast Asia 帰りのガクセーも
おもしろいけど。それとは違う。
吉田健一はそれ以前に、知識人であるからウィットの効いたことを言ってしかり
だが。しかしこのフレーズはすごい。
▼各自の生活を美しくする、とはどういうことか。逆に考えると、戦争に巻き込まれれば
日々の生活は美しくなくなるし、間違っても執着したくないものになる。
生活を美しくして、それを守ろうとする。その結果として他の国を攻撃しっぱなし
なのはUltimateStatesAmerica(includes JAPAN ....悲しいことに)。
果たしていま、アメリカ人の生活は美しいのか。人種差別は次第になくなり、国も富んではいるが、
軍需が経済の重要ファクターであるかの国は美しい国といえるのか。ハリケーンにさえまともに対応できない。
戦前の日本人も美しい国を暴力的に求めたあげく醜くなった。
要は美しさの指標が間違っていたのだ。
美しさを正しく認識することが、戦争に反対することにもつながる。
▼数年前Pizzicato Five、というか小西康陽がトリビュートのタイトルとしてこれを
使って一気にコンシャスな若い層に広まった。小西康陽の企画力もすごいが。
▼彼の父、吉田茂
憲法改正を急ぐ吉田に疑問を呈する議員たちに対して「日本としては、なるべく早く主権を回復して、占領軍に引き上げてもらいたい。彼らのことをGHQ(General Head Quarters)というが、実は、『Go Home Quickly』の略語だというものもあるくらいだ。」
昭和天皇から血色がいいねと言われた際に、吉田の返答は「わたしは人を喰ってます」。
ーある日、会いたくなかった客人に対して居留守を使った吉田であったが、その客人に居留守がばれてしまった。抗議をする客人に対して、吉田の返答は「本人が「いない」と言っているのだから、それ以上確かな事はないだろう」
政治手腕も凄かったが、希代の変人であり、コトバの天才である。
▼茂の孫、麻生太郎も発言が物議を醸すことが多い。彼もスタンフォード大学大学院に留学、 卒業直前に吉田茂の働きかけで ロンドン大学大学院に無理やり転校させられ、その時スタンフォード時代に覚えたアメリカ英語をロンドンで矯正させられる。でも吉田親子と比べたらイギリスっぷりは低いし、発言は差別と勘違いのテーマパーク。
▼上2項はwiki引用。右やら左やらだったりするけどほんとに便利だ。
なにが言いたいやらわからなくなったが、日本も貧富2極化がすすんで階級化してしまった暁には、ついでにイギリス化しないものだろうか。生活のつつましさ志向だけでも。